梨木香歩『家守綺譚』
『家守綺譚』
(梨木香歩、新潮社、税込1470円)
梨木さんのレトロな感覚が、物語とうまくマッチしていておもしろかった。さるすべり(の精?)やら小鬼やらカッパやら、妖怪的ないきものがあたりまえのように日常化している世界。昔水死した友人も、ちょくちょく訪れる。なにがあらわれても動じない征四郎のおおらかさもいいし、ゆるりとした生活空間になぜか郷愁すら覚えてしまう。
『からくりからくさ』などは、現代なのに、その生活がやたらと古めかしく、登場する若い女性たちの老成ぶりが気持ち悪くすら感じられたのだけれど、『家守綺譚』のように、いざレトロな世界が舞台となると、とたんにわくわくタイムスリップして、此岸彼岸のあわいが楽しめた。
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